確定申告をしなかったときの無申告加算税

確定申告の基礎知識

確定申告をするのを忘れていて期限を過ぎてから申告をしたり、税務署等から所得金額の決定を受けたときには、本税(本来支払わなければならない税金)のほかに無申告加算税(ペナルティ)が課されます。今回はこの無申告加算税について税理士がポイントを解説します。

 

確定申告をしなかったときの無申告加算税とは?

無申告加算税は、決められた期限までに税金を支払わなかったときに課される税金です。本税(本来支払わなければならない税金)に対して、状況に応じて決められた割合で加算されることとなります。

①原則的な取扱い

無申告加算税の原則的な割合は次のとおりです。

納付すべき税額に対して 50万円までの部分 50万円超の部分
原則 15% 20%

例えば、確定申告で納付すべき税額が100万円だった場合の無申告加算税は次のようになります。

無申告加算税=50万円×15%+(100万円-50万円)×20%=17万5千円

 

②税務調査前に自主的に期限後申告をした場合

無申告加算税の原則的な課税割合は上記のとおりですが、税務調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、軽減されます。

ただし、平成28年分以後の所得税に関しては、税務調査の事前通知があった後に期限後申告した場合の無申告加算税は、自主申告した場合の無申告加算税よりも加算された課税割合が適用されます。

納付すべき税額に対して 50万円までの部分 50万円超の部分
税務調査通知に自主申告した場合 5%
税務調査通知に自主申告した場合 10% 15%

平成28年分以後は、税務調査の通知があった後に慌てて申告をしても、無申告加算税は5%とはなりませんが、原則的な割合よりは5%低い割合が適用されます。

 

無申告加算税が不適用となるとき

無申告加算税は、原則として、申告期限を1日でも遅れると発生します。
しかし、期限後申告であっても、次の要件をすべて満たす場合には、期限内申告をする意思があったものとされ、無申告加算税は課されません(期限後申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用)。

(1) 期限後申告が、申告期限から1月以内に自主的に行われていること。
(2) 期限内申告をする意思があったと認められる「一定の場合」に該当すること。

(2)の「一定の場合」とは、次のいずれにも該当する場合をいいます。

・税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
・期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

簡単に言うと、税金は期限までに納付していたけど、申告するのを忘れていたケースであれば、申告期限から1か月以内に自主的に申告をすれば、無申告加算税は不適用となる、という制度です。ただし、5年以内に無申告加算税や重加算税を課されていたり、この制度の適用を受けていた場合には、適用を受けることができません。

 

期限後申告をするときの税金はいつまでに支払えばいい?

確定申告を期限後に行う場合は、申告書を提出した日が税金の納期限となります。
期限後に納税をすると、加算税の他に、納税をした日までの期間に応じて延滞税がかかります。
加算税と延滞税は、後日、税務署から納付書が送られてきますので、それを基に納付をしてください。

 

まとめ

申告期限を過ぎてから確定申告をした場合に課される無申告加算税について解説しました。無申告加算税は、原則として、申告期限を1日でも過ぎると同じ割合で課せられる厳しいものです。余分な税金を支払わないようにするためにも、申告期限までに確定申告をするようにしましょう。また、もし申告期限を過ぎてしまった場合も、自主的に申告をした方がペナルティが少なくて済むこととなります。

 

この記事を書いた人
松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士・宅地建物取引士
みんなの会計事務所(大阪市)代表。同所の確定申告代行サービスは、毎年300名以上のお客様が利用。低価格・丁寧・スピーディーな仕事が好評を呼んでいる。不動産業、ベンチャー支援、相続・相続対策にも強い。

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