2020年分から青色申告特別控除や基礎控除が見直しされる!

個人事業主の確定申告

個人事業者の方が青色申告をしていると青色申告特別控除の適用を受けることができます。2020年からこの青色申告申告特別控除や基礎控除が見直しされることになりました。見直し後はどのようになるのでしょうか?税理士がポイントを解説します。

 

青色申告特別控除の見直し

事業所得または不動産所得のある方が青色申告をしていると、青色申告特別控除の適用を受けることができます。これまでは、取引を正規の簿記の原則にしたがって記録している場合とそれ以外の場合で控除額が異なっていましたが、2020年からは条件によって3パターンの控除額が設けられることとなりました。

 

2019年以前の青色申告特別控除

これまでの青色申告特別控除額は、取引を正規の簿記の原則により記帳している場合には65万円、それ以外の場合は10万円とされています。正規の簿記の原則により記帳というのは、会計ソフトなどを使って、複式簿記で記帳していることをいいます。

 

正規の簿記の原則で記帳 65万円
上記以外の場合 10万円

ただし、申告期限後に申告した場合の控除額は10万円となります。

 

2020年以降の青色申告特別控除

これまで2パターンだった青色申告特別控除額が3パターンとなります。

 

①正規の簿記の原則で記帳
かつ、電子申告または電子帳簿保存を利用
65万円
②正規の簿記の原則で記帳のみ
(電子申告または電子帳簿保存を利用せず)
55万円
①、②以外の場合 10万円

ただし、申告期限後に申告した場合の控除額は10万円となります。

 

今回、追加で加わった電子申告または電子帳簿保存の要件は具体的には次のとおりです。

 

<電子申告の要件>

その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までにe-Taxを使用して行うこと

電子申告を利用する場合、事前に承認を受ける必要はありませんが、電子申告を利用するための準備は必要です。

 

<電子帳簿保存の要件>

その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について電磁的記録の備付け等を行っていること

「電磁的記録の備付け等」というのは、帳簿等を電子データのまま保存することをいいます。ただし、帳簿等を後から改ざんできないようにしておく必要があるなど、一定の要件を満たす必要があります。

この、電子帳簿保存を行うには、帳簿の備付けを開始する日の3か月前の日までに承認申請書を税務署に提出する必要があり、原則として課税期間の途中から変更することはできません。つまり、適用しようとする年の前年の9月30日までに申請書の提出が必要です。

ただし、2020年に限っては、2020年9月30日までに承認申請書を税務署に提出し、同年中に承認を受け、同年12月31日までの間に、仕訳帳及び総勘定元帳の電磁的記録による備付け及び保存を行っていれば、65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

 

これまで65万円の青色申告特別控除を受けていた個人事業者の方で、引き続き65万円の控除を受けようとする場合は、電子申告または電子帳簿保存のいずれかに対応しなければなりません。

 

 

基礎控除も見直しに

2020年分の所得税から基礎控除額についても見直しが行われ、現行の38万円から48万へ引き上げられることとなります。ただし、所得制限が設けられ、合計所得金額が2,400万円を超えると、段階的に縮小され、2,500万円超で基礎控除額は0円となります。

 

改正後の基礎控除額は次のようになります。

合計所得金額 基礎控除額(改正後)
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

 

基礎控除というのは誰もが一律に受けることができるものですので、合計所得金額が2,400万円以下の方は実質的に減税されたこととなります。

 

 

まとめ

青色申告特別と基礎控除の見直しについて解説しました。これまで65万円の青色申告特別の適用を受けていた場合は、電子申告または電子帳簿保存に対応すれば、基礎控除と合わせて従来よりも多く控除を受けることができるようになり、減税されることとなります。しっかりと活用して税金を減らしましょう。

 

                                                                     

この記事を書いた人
松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士・宅地建物取引士
みんなの会計事務所(大阪市)代表。同所の確定申告代行サービスは、毎年300名以上のお客様が利用。低価格・丁寧・スピーディーな仕事が好評を呼んでいる。不動産業、ベンチャー支援、相続・相続対策にも強い。

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