Go to キャンペーンを利用し過ぎると税金に注意!その理由を税理士が解説

その他の確定申告

新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて、冷え込んだ旅行需要や外食需要を回復するための経済施策としてGo To キャンペーン(Go To トラベル、Go To Eat)があります。

まだまだ感染症の拡大は収まりませんが、注意しながらこのGo To キャンペーンを利用して楽しまれた方も多いのではないでしょうか?しかし、このGo To キャンペーンを利用し過ぎると、確定申告で税金を支払わなければならないこともあるようです。

 

 

Go To トラベルとは?

Go To トラベルキャンペーンとは、宿泊や日帰りの国内旅行を行う場合、旅行代金の割引と地域共通クーポンの支給を受けることができるものです。

 

Go To Eatとは?

Go To Eatキャンペーンとは、食事券を購入すると購入額の25%のプレミアム券が付与されたり、予約サイトから予約すると次回以降の飲食で使えるポイントの付与を受けることができるものです。

 

これらのキャンペーンの公式サイトにおいて、キャンペーンによる給付が、税務上、消費者個人の一時所得として所得税の課税対象となることが明記されました。

 

 

なぜ税金がかかるのでしょうか?どんなときに税金がかかるのでしょうか?

今回は みんなの会計事務所 税理士の松本佳之氏に聞いてみました。

 

なぜ税金がかかるのですか?

給付を受けた人の「一時所得」にあたるためです。一時所得とは、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得のことで、例えば、生命保険の一時金・満期返戻金、競馬や競輪などの払戻金、ふるさと納税の返礼品などがあります。

消費者が支払っているのは割引後の金額かもしれませんが、実際に受けているサービスなどは定価(割引前)の金額なのだから、その差額が経済的利益(所得)となって課税される、という税務の理屈です。税務では、実際にやりとりした金銭等に関わらず、「経済的利益」に対して課税する、というのが基本的な考え方になっています。

 

スーパーで値引きを受けたら税金がかかるのですか?

スーパーで値引きを受けても税金はかかりません。スーパーが自ら値引きをしている場合は、値引き後の金額が、その商品のその時点の価値と考えられ、経済的利益を受けていないからです。

しかし、例えば、Go To トラベルキャンペーンの場合であれば、ホテルなどの宿泊事業者は、割引前の価格を受け取っている訳です。そのため、値引きがあったのではなく、本来は消費者(キャンペーンの利用者)が負担すべき代金の一部を国が負担しているということになります。なので、国が、消費者(キャンペーンの利用者)に対して経済的利益を与えた、という図式が成立してしまいます。

 

一時所得の税率は何パーセントですか?

まず、一時所得となる所得があったとしても必ず税金がかかる訳ではありません。

 

課税される金額は次の計算式で計算します。

一時所得=(収入金額-支出金額-特別控除額(最高50万円))×1/2

 

この計算式があるので、年間で一時所得となるものの合計が50万円以下であれば、課税されないこととなります。

50万円超で一時所得が生じた場合には、給与所得など他の所得と合計した総所得金額に対して、その所得金額に対する所得税率で課税されることとなります。つまり、所得税率は人によって異なり、所得が多い人ほど高い所得税率が適用されます。

 

過去にもプレミアム商品券などがありましたが、そのときから取り扱いが変わったのですか?

取扱いが変わった訳ではないと思われます。従来のプレミアム商品券などと違って、今回のGo To キャンペーンは同じ人が繰り返し何度でも利用することができ、その還元額が高額になることもあります。そのため、注意喚起されたのではないでしょうか。

 

では、10万円の特別給付金も所得税等がかかるのですか?

2020年に全国民に配られた10万円の特別給付金には所得税はかかりません
給付の根拠となる法律で「非課税」とされているためです。

しかし、マイナンバーカードを取得した後に、キャッシュレス決済サービスを利用した際に最大5,000円相当が付与されるマイナポイントは一時所得になるので注意してください。

 

結局、どのような人に税金がかかるのですか?

Go To キャンペーンで付与を受けた経済的利益が50万円超の場合に税金がかかる可能性があります。また、50万円以下であっても、その年に生命保険の満期返戻金など他の一時所得があって、合算すると50万円超となる場合にも税金がかかる可能性がありますので、注意してください。

なお、会社員の場合は、その他の所得が20万円以下であれば所得税の確定申告が不要となる制度があります。確定申告不要制度を使う場合、一時所得にあたる所得が年間90万円以下であれば、所得税の確定申告をする必要はありません。

 

 

その他にGo To イベントキャンペーンなどもありますが、同様の取扱いとなるものと考えられます。せっかくの経済振興策なのだから、非課税扱いにして、税金のことは気にせず楽しませてもらいたいものですが、そうもいかないようです。

この記事を書いた人
松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士・宅地建物取引士
みんなの会計事務所(大阪市)代表。同所の確定申告代行サービスは、毎年300名以上のお客様が利用。低価格・丁寧・スピーディーな仕事が好評を呼んでいる。不動産業、ベンチャー支援、相続・相続対策にも強い。

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