フリーランスの方の確定申告。やるべきことや注意点を解説!

個人事業主の確定申告

フリーランスになると確定申告をしなければなりません。今回はフリーランスの方が開業したらまずやるべきことや確定申告とその注意点などについて解説します。

フリーランスの人は確定申告が必要

会社にお勤めの方は、勤務先が年末調整で所得税等の税金に関する手続きを済ませてくれますが、独立しているフリーランスの場合はそうはいきません。自身で確定申告をして、所得税などの税金に関する手続きを済ませなければなりません。

なお、フリーランスの業種によっては、受け取った報酬から源泉徴収がされていることもあります。その場合には確定申告をすることによって、税金が還付されることもあります。

つまり、納税となる人は確定申告が義務ですし、還付となる人は確定申告をすることによって得をする訳ですから、いずれにしても、確定申告が必要ということになります。

 

 

フリーランスになったらまずやるべきこと

フリーランスになった方がまずやらなければならない事項には次のようなものがあります。

開業届などを税務署に提出する

まず開業届を税務署に提出する必要があります。
フリーランスとなった方が提出する主な届出は次のようなものがあります。

・個人事業の開業届出書(必須)
・所得税の青色申告承認申請書(青色申告をする場合に必要)
・青色事業専従者給与に関する届出書(専従者給与を支払う場合に必要)
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する届出書(源泉所得税の納期の特例を受ける場合に必要)

なお、これ以外にも消費税に関する届出などもありますから、自身が必要となる届出を理解してから提出するようにしましょう。

 

 

「青色申告」を選択する

確定申告には「白色申告」と「青色申告」がありますが、「青色申告」を選ぶようにしましょう。青色申告は、帳簿書類の作成や保存が義務付けられますが、青色申告特別控除などの大きなメリットがあります。

なお、開業した年から、青色申告を適用する場合は、開業の日から2か月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。忘れないように「個人事業の開業届出書」と同時に提出しておくとよいでしょう。

 

 

売上や経費に関する書類は残しておく

フリーランスになると、収支を計算して、確定申告をする必要があります。
収支計算ができるように売上や経費に関する書類は残しておかなけばなりません。

 

「書類が残っていないとどうなる?」
もし税務調査があると、売上や経費に関する書類を、調査官に提示しなければなりません。調査官は、書類を見て、確定申告の内容が正しいかどうかを確かめるからです。必要な書類が残されていないと、売上や経費が正しいことを説明することが難しくなります。その結果、経費が認められなくなり、追徴課税が生じる可能性もあります。必要な書類を残していないと、デメリットしかありませんから、必ず残すようにしておきましょう。

 

経理処理のルールを決めておく

いざ事業を開始すると、営業やお客様の仕事で手が一杯となり、経理処理は後回しになってしまいがちです。そうならないように経理処理を誰が、いつ、どうするかを決めておくようにしましょう。使用する会計ソフトも決めておく必要があります。

ご自身や家族でできるのであればそれでもよいですし、できなければ税理士などに外注しなければなりません。税理士などに外注する場合、期限間際にまとめて依頼するよりは、先に依頼して定期的に経理処理をしてもらった方が、適切なアドバイスをもらうことができるでしょう。

なお、取引がシンプルで、取引量が多くなければ、会計ソフトを使わずにExcelなどのスプレッドシートを使って収支計算をすることもできるでしょう。

 

私用とは別に銀行口座を作る

フリーランスの場合は個人名義なので、個人の銀行口座をそのまま使うこともできます。しかし、私用とは別に銀行口座を作っておく方がよいでしょう。

銀行口座が公私混同していると、資金管理がわかりにくくなります。例えば、預金残高が減ってきたときに、事業がうまくいっていないことが原因なのか、生活費が多いことが原因なのかがわかりません。

事業用口座を設け、その中から、毎月一定金額を決めて、プライベートの銀行口座に送金するというような形が理想です。

 

 

フリーランスの方の確定申告のやり方

フリーランスの方の確定申告は次の流れで行いましょう。基本的には一般的な確定申告と同じです。

【ステップ1】所得を計算して、収支計算書を作成する

売上高から必要経費を差し引いて所得(事業所得)を計算する必要があります。

【ステップ2】確定申告書を作成する

収支計算書をもとに、確定申告書を作成します。社会保険料控除、医療費控除、住宅ローン控除など様々な控除がありますから、忘れないように適用しましょう。

【ステップ3】税金を納める

確定申告書を作成した結果、納税額が生じるときは納税をします。

確定申告をした後、住民税や事業税が課税されるので、そのことも忘れないようにしてください。

 

 

フリーランスの確定申告で注意が必要なこと

フリーランスの方の確定申告では次のような点に注意する必要があります。

必ず期限内に申告する

必ず申告期限までに確定申告をしましょう。申告期限は、確定申告期日(例年3月15日)の24時までとなります。郵便の場合は、当日の消印まで有効です。電子申告する場合、1分でも遅れると期限後申告となりますから注意してください。

「1日や2日遅れても問題ないのではないか?」「延滞税がかかっても大した金額にはならないだろう!」そんな風に考えられる方も多くいます。

しかし、それは大きな間違いです。
期限後申告になると、まず、無申告加算税が課される可能性があります。また、青色申告特別控除も10万円が上限になります。さらに、2年続けて、期限後申告となると、青色申告の承認が取り消しされる可能性があります。申告が少し遅れただけで、税額がかなり違ってくることもあるのです。

報酬が源泉徴収されている場合は注意

受け取った報酬から源泉徴収されている場合は、それは所得税の前払分ですから、確定申告で納めなければならない税金から差し引くことになります。

源泉徴収の有無などは得意先から交付される「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」という書類を見るとわかります。この書類が交付されていなかったり、源泉徴収されているかどうかわからないときは得意先に確認するとよいでしょう。

将来、消費税がかかる可能性がある

フリーランスの場合、課税事業者を選択しない限りは、開業年とその翌年は消費税の免税事業者となるでしょう(ただし、開業年の翌年は要件によって課税事業者となることもあり得る)。3年目以降は、2年前の収入(課税売上高)が1,000万円を超えると課税事業者となります。消費税のことも忘れないようにしましょう。

 

 

まとめ

フリーランスの確定申告について解説しました。これまで経理をしたことがない方は初めはとっつきにくく、後回しにしがちです。でも、最近は会計ソフトも便利になっていますし、実際にやってみると意外にスムーズにできるかもしれません。後回しにせずまずやってみる、そして習慣づける、というのがポイントになるでしょう。

 

この記事を書いた人
松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士・宅地建物取引士
みんなの会計事務所(大阪市)代表。同所の確定申告代行サービスは、毎年300名以上のお客様が利用。低価格・丁寧・スピーディーな仕事が好評を呼んでいる。不動産業、ベンチャー支援、相続・相続対策にも強い。

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