新型コロナウイルス関連費用で医療費控除の対象となるもの、ならないもの

医療費控除の確定申告

新型コロナウイルス感染症に関して例年にない支出があったことでしょう。今回は新型コロナウイルス感染症に関連した支出が医療費控除の対象となるかどうかについて、税理士がポイントを解説します。

 

医療費控除をおさらいしよう!

まずは医療費控除をおさらいしましょう。

医療費控除とは、ご自身またはご自身と生計を一にする配偶者やその他の親族のために、年間10万円(総所得金額が200万未満の人は総所得金額の5%)以上の医療費を支払った場合には、所得控除を受けることができ、所得税と住民税が少なくなる制度のことをいいます。

 

この医療費控除の対象となる医療費とは次のような費用のことをいいます。

1.医師等による診療や治療のために支払った費用

2.治療や療養に必要な医薬品の購入費用

 

医療費控除の対象となる医療費の中には原則として「病気を予防するための費用」は含まれていない、ということを覚えておきましょう。

 

 

 

では、新型コロナウイルス感染症に関連した支出が医療費控除の対象となるかどうかを見ていきましょう。

新型コロナ関連で医療費控除の対象となるもの・ならないもの

マスクや消毒液などの購入費用

医療費控除の対象とはなりません。

マスクは病気の感染予防のために着用するものであって、それ自体は診療・治療費用、医薬品の購入費用のいずれにもあたらないためです。消毒液も同様と考えられます。

なお、セルフメディケーション税制の対象ともなりません。

 

ビタミン剤の購入費用など病気の予防費用

健康維持が目的の費用も医療費控除やセルフメディケーション税制の対象とはなりません。

 

PCR検査等の検査費用

PCR検査等の検査費用は「医師の判断によるものか」と「検査結果」によって、医療費控除の対象となるかどうかが異なります。

まず、医師等の判断で受けたPCR検査等の検査費用は、医療費控除の対象となります。医師等の診療のための費用にあたるからです。

一方、医師等の判断によらない(自身が希望して受けた)PCR検査等の検査費用は、医師等の診療のための費用にあたらないため、医療費控除の対象とはなりません。

ただし、検査結果が「陽性」となり、引き続き治療を受けることとなった場合には、その検査費用は医療費控除の対象となります。治療前に行った診察と同様と考えられるためです。

 

オンライン診療に係る諸費用

新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、オンライン診療が受けることがあります。このオンライン診療に係る諸費用の取扱いは次のようになります。

 

オンライン診療料やオンラインシステム利用料

医療費控除の対象となります。
いずれも診療を受けるために直接必要な費用であると考えられるからです。

 

医薬品の購入費用

もちろん医療費控除の対象となります。

 

医薬品の配送料

医療費控除の対象とはなりません。

医薬品の購入に付随して生じた費用ではありますが、配送料は医薬品の購入費用ではないため、医療費控除の対象となる医療費に該当しません。

 

ワクチンの接種費用

もし新型コロナウイルス感染症のワクチンができた場合、その接種費用は医療費控除の対象となるのでしょうか?

これについても原則として医療費控除の対象にはならないものと考えられます。治療等が目的ではなく、予防が目的だからです。

 

 

まとめ

新型コロナウイルス感染症に関連した支出と医療費控除の関係について解説しました。感染症の予防はとても大切なことではありますが、残念ながらその多くは医療費控除の対象とはなりません。これらの基本的な考え方は新型コロナウイルスに限らず共通のものなので、理解しておくとよいでしょう。

 

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