住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは?

住宅ローン控除の確定申告

住宅ローンを利用して住宅を取得した場合で、一定の要件を満たすときは住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受けることができます。今回は、住宅ローン控除の概要について解説します。

 

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは?

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除、住宅ローン減税ともいいます)とは、平成33年12月31日までに住宅ローンを利用して、マイホームの新築、取得または増改築等をし、一定の要件を満たす場合に、住宅ローンの年末残高に応じて、最大10年間、所得税の税額控除を受けることができるというものです。

 

 

住宅ローン控除で軽減される所得税額は?

住宅ローン控除で、控除できる所得税の金額は、次の計算式により算定します。

 控除額(控除限度額まで)=住宅ローンの年末残高の合計額×控除率

平成26年4月1日から平成33年12月31日までに居住した場合の控除率等は次のとおりです。

控除率 1%
控除期間 10年
控除限度額 特定取得(※)の場合・・・40万円
特定取得(※)以外の場合・・・20万円

※特定取得とは、住宅の取得等の対価の額等に含まれる消費税額等が、8%又は10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等のことをいいます。

住宅ローン控除「特定取得」とは?

なお、所得税で控除しきれなかった金額がある場合は、一定額を限度として、翌年度の個人住民税で住宅ローン控除が適用されます。

 

住宅ローン控除を適用するための主な要件

住宅ローン控除の適用を受けるためには、次のすべての要件を満たすことが必要です。

居住の要件 新築した日、取得した日から6か月以内に入居していること。
また、適用年の12月31日まで引き続き住んでいること
所得の要件 適用年の合計所得金額が3千万円以下であること。
住宅の要件 住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が住居用であること。
中古住宅である場合は築後20年以内(耐火建築物は築後25年以内)であること、または、一定の耐震基準を満たすものであること。
借入金の要件 10年以上の期間で分割返済する借入金があること。
その他 入居した年とその前後2年以内に一定の特例の適用を受けていないこと。

なお、住宅ローン控除の適用を受ける初年度は確定申告をする必要があります。
お勤めの方(給与所得者の方)は、2年目以降は、年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。

住宅ローン控除と併用できない特例がある

住宅ローン控除の適用を受けるためには、「入居した年とその前後2年以内に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの特例の適用を受けていないこと」が要件とされています。

住宅ローン控除と併用できる主な特例と併用できない主な特例は次のとおりです。

住宅ローン控除と併用できる主な特例 住宅ローン控除と併用できない主な特例
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除
・特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
・居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
・居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除
・居住用財産の買換え・交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例

マイホームを売却して、新たに住宅ローンを使ってマイホームを取得した場合(取得する予定である場合)などは、どの特例を適用するかによって税額が変わってくる可能性がありますのでしっかりと検討するようにしましょう。

 

所得税額から控除しきれなかった場合(住民税の住宅ローン控除)

住宅ローン控除による控除額が所得税額より多く、所得税額から控除しきれなかった場合には、翌年の住民税で住宅ローン控除を適用されます。住民税の住宅ローン控除の適用を受ける場合でも、確定申告または年末調整で所得税の住宅ローン控除の適用を受けていれば、市区町村への申告は不要です。

(住民税の住宅ローン控除額)

特定取得以外の場合 特定取得の場合
次の(A)と(B)のいずれか低い方の金額
(A)所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除可能額
(B)所得税の課税される総所得金額等×5%(最高97,500円)
次の(A)と(B)のいずれか低い方の金額
(A)所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除可能額
(B)所得税の課税される総所得金額等×7%(最高136,500円)

 

住民税の住宅ローン控除の適用を受けるときは初年度の申告時期に注意!

住民税の住宅ローン控除の適用を受けるときは初年度の申告時期に注意してください。
所得税は還付申告の期限内(5年)に住宅ローン控除を適用する確定申告書を提出すれば、遡って還付を受けることができます。一方で、住民税の住宅ローン控除は、納税通知書が送達されるときまでに確定申告書が提出されていないと、適用を受けることができません。

 

このページのまとめ

1.住宅ローンを使って住宅を取得し、一定の要件を満たすときは住宅ローン控除を受けることができる。

 

2.住宅ローン控除で控除できる金額は、住宅ローンの年末残高によって決まる。

 

3.住宅ローン控除の適用を受けるためにはいくつかの要件がある。

 

4.初めて住宅ローン控除の適用を受けるときは確定申告をする必要がある。ただし、2年目以降は年末調整で済む。

この記事を書いた人
松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士・宅地建物取引士
みんなの会計事務所(大阪市)代表。同所の確定申告代行サービスは、毎年300名以上のお客様が利用。低価格・丁寧・スピーディーな仕事が好評を呼んでいる。不動産業、ベンチャー支援、相続・相続対策にも強い。

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