所得税等を納税する方法の一つに振替納税があります。今回は、この振替納税手続きをする際の注意点について税理士がポイントを解説します。
振替納税とは?振替納税のメリットは?
振替納税とは、事前に手続きをしておくこと、振替日に指定した金融機関口座から自動引落しで税金を支払うことができる、という制度です。
振替納税には次のようなメリットがあります。
①税金を納付をする手間が省ける
一度手続きをしておけば、翌年以降も継続して振替納税が適用されます。税金を納付するために金融機関窓口に行ったりする手間を省くことができます。
②税金の納付を遅くすることができる。
確定申告の場合、振替日が法定納期限よりも約1か月遅い日に設定されているため、税金の支払を遅らせることができます。なお、振替納税の場合、その間の利子税や延滞税はかかりません。
振替納税をするための手続きは?
振替納税をするためには、利用する国税の納期限までに「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を作成し、税務署か、振替納税先に指定した金融機関に提出しておく必要があります。
指定した金融機関を変更する場合は、再度「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出します。
また、振替納税を取り止めるときは税務署に連絡をします。
振替納税の手続きをする際の注意点
事前に振替納税手続を実施しておけば、所得税等の税金を、指定する金融機関の口座から自動引き落としの方法により納めることができます。この振替納税の手続きをする際には次の点について注意が必要です。
①期限までに手続きをしないといけない
振替納税手続は、振替納税したい所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税の納付の期限までに行う必要があります。
②税目ごとに手続きをしないといけない
振替納税は税目ごとに利用を選択することができます。例えば、所得税等について振替納税の手続を済ませていたとしても、消費税等についての手続をしていない場合には、消費税等について振替納税は利用できません。新たに消費税の課税事業者となったときには特に注意が必要です。
③振替できなかったときは法定納期限の翌日から延滞税が発生する
振替納税される日に、指定した金融口座が残高不足だったこと等により振替できなかった場合には、延滞税がかかります。このときの延滞税は、振替納税される日ではなく、法定納期限(所得税の場合は通常3月15日)の翌日から完納する日までの期間が対象となります。
④税務署の管轄が変更する場合は再度手続きが必要となる
引越して、所轄の税務署が変更となる場合は、変更後の税務署に対して新たに手続きをする必要があります。手続きをしていなければ、自動引き落としがされません。延滞になってしまうこともありますので、注意してください。
まとめ
振替納税について解説しました。一度手続きをしておけば、納税の手間が省けてとても便利な制度です。利用を検討されるとよいでしょう。一方で、振替納税の注意点についてもしっかりと理解しておいてください。