中途退職した人は確定申告が必要?状況別にわかりやすく解説

会社員の方は勤務先が年末調整を行うので、通常は確定申告をする必要はありません。では、年の途中で退職した場合はどうなるのでしょうか?今回は中途退職した人の確定申告について解説します。

 

中途退職後、確定申告が必要かどうかは「再就職の有無」で決まる

中途退職した人が確定申告が必要かどうかは、その年中に再就職したかどうかで変わってきます。

中途退職後、年内に再就職した場合

中途退職し、その年中に再就職した場合は、再就職先の勤務先が前職の分と合わせて年末調整を行います。年末調整によって納税が完結するので、原則として確定申告をする必要はありません。

ただし、以下のような控除を受けたい場合は、確定申告をすることで所得税の還付が受けられる可能性があります。

・住宅ローン控除

・医療費控除

・寄付金控除など

前職分も合わせて年末調整がされると、年末調整後に勤務先から交付される源泉徴収票の摘要欄に前職分の給与や源泉徴収税額が記載されます。念のため、その記載を見て、前職分も合わせて正しく年末調整されていることを確認しておくとよいでしょう。

 

中途退職後、年内に再就職していない場合

中途退職して、その年中に再就職していない場合は、退職までの間、源泉徴収がされているものの年末調整が行われていません。そのため、その年の納税が完結していないため、確定申告をすることが必要となります。なお、ほとんどのケースで、確定申告をすることによって納め過ぎとなった税金が返ってくる(還付)ことになるでしょう。

還付を受けるための申告は、退職した年の翌年から5年以内であれば行うことができます。

 

 

中途退職者の確定申告の注意点

源泉徴収票の取得を忘れずに!

確定申告をする際は、源泉徴収票が必要となります。

退職時に源泉徴収票の交付を受けていない場合や交付を受けたものの紛失した場合には、前職の勤務先に連絡して、源泉徴収票を発行してもらいましょう。

なお、2019年4月1日以後、源泉徴収票を確定申告書への添付や提示は必要なくなりました。

退職後、自分で支払った社会保険料も控除対象

退職後に国民年金や国民健康保険などの保険料を自分で支払った場合、これらも所得控除の対象となります。支払証明書などを保管しておきましょう。

住宅ローン控除など各種控除の適用漏れにも注意

確定申告をする際は、住宅ローン控除、医療費控除、寄付金控除など各種控除の適用漏れを忘れないようにしましょう。

翌年の住民税に注意

年末調整や確定申告をすることによりその年中の所得が確定し、この所得に基づいて翌年の住民税が課税されます。再就職していない場合は、翌年に自身で住民税を支払わなければならないこととなりません。うっかり忘れていると、思わぬ時期に思わぬ支出が生じることとなります。翌年の住民税のことも忘れないようにしましょう。

失業保険は非課税(課税されない)

退職後、再就職するまでの間に失業保険を受け取ることもあるでしょう。この失業保険は課税対象とはなりません。そのため、確定申告をする際に所得に含める必要はありません。

 

よくある質問(Q&A)

Q1. 源泉徴収票を紛失してしまった場合はどうすればいいですか?
A. 前職に連絡して、再発行を依頼しましょう。会社には源泉徴収票の保存義務があるため、再発行に応じてもらえます。

Q2. パートやアルバイトでも確定申告は必要ですか?
A. 一定額以上の給与収入がある場合や、源泉徴収された税金がある場合は、還付を受けるために確定申告を行ったほうがよいでしょう。年間の収入状況によって必要性が異なります。

Q3. 確定申告をしなかったらどうなりますか?
A. 納めるべき税金があるのに申告しなかった場合は、追徴課税や延滞税の対象となる可能性があります。一方で、還付申告を忘れても罰則はありませんが、5年を過ぎると還付を受けられなくなります。

Q4. 確定申告はどうやって行えばいいですか?
A. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxを利用すれば、自宅からオンラインで申告が可能です。税務署へ直接持参や郵送でも提出できます。

 

まとめ

中途退職した場合、その年中に再就職したかどうかで確定申告の要否が分かれます。特に再就職していない場合は、確定申告を行うことで納めすぎた税金が還付される可能性が高くなります。自分の状況を正しく把握し、必要な手続きを忘れずに行うことが大切です。